就職活動もいよいよ終盤戦。新卒エージェントを通して内定をいただき、ホッと一息ついた方も多いのではないでしょうか。やっと決まった、と思った矢先、「でも本当にこの会社でいいのかな?」「他の会社の選考を続けたい気持ちがまだある…」そんなふうに、内定承諾後にも心が揺れてしまうことって、決して珍しいことではありません。

特に新卒エージェントを利用していると、「エージェントさんに申し訳ない気がする」「一度承諾したのに辞退するなんて非常識じゃないかな」と、不安や罪悪感を抱えてしまいがちです。

でも、まず伝えたいことは一つ。
内定を承諾したあとに辞退を考えるのは、決して悪いことではありません。

就職は、これから長い人生の中でも大きな選択のひとつ。迷いがあるのは、それだけ真剣に自分の将来を考えている証拠です。

このコラムでは、「新卒エージェント経由で内定を承諾したあとに、どうしても辞退したい」と考えたときに知っておきたい情報を、やさしく・ていねいに解説していきます。法律的な観点から見た「内定辞退の可否」、新卒エージェントとのやりとりのポイント、辞退する際の例文やマナー、さらには辞退後の影響まで――気になることをまるごとカバーしました。

この記事を読み終える頃には、「本当にこの選択で大丈夫かな?」というモヤモヤが、少しでも軽くなっていることを願っています。

内定承諾=絶対ではない?法律的な観点から見た「辞退の可否」

「内定を承諾したってことは、もう後戻りできないんですよね…?」

そんな不安を抱えている就活生の方、多いのではないでしょうか。エージェント経由でも、企業との直接応募でも、内定通知を受けたあと「承諾します」と返答すれば、それが“契約”のように重たく感じてしまうもの。実際に、「法的に辞退ってできるの?」と検索した方もいるかもしれませんね。

結論からお伝えすると――
内定を承諾した後でも、辞退は可能です。

■「内定承諾」と「労働契約」はイコールではない?

まず知っておきたいのは、「内定承諾」という言葉には、法的な定義がないということです。企業から内定通知が届き、「入社する意思があります」と伝えた段階では、まだ「労働契約」が成立したとは言い切れません。

企業によっては内定通知書や誓約書などを用意し、法的な契約に近い形を取る場合もありますが、ほとんどの場合、「学生の内定承諾」はあくまで意思表示にすぎません。つまり、この段階で辞退を申し出たとしても、違法になることはまずありませんし、法的責任を問われることも基本的にはありません。

■では「労働契約」とはいつ成立するの?

一般的に「労働契約が成立した」とみなされるのは、企業と学生の間で労働条件に合意し、双方が就労の意思を確認したタイミングです。たとえば、以下のようなケースが該当します。

  • 企業から「内定通知書」や「雇用契約書」が正式に送られ、学生がサインして返送した
  • 明確な勤務開始日や給与条件に合意し、入社日が確定している

それでも、入社の数か月前であれば、労働契約が成立していても「辞退=退職の意思表示」とみなされ、問題なく取り消しが可能です。もちろん、なるべく早めに伝えることがマナーですが、辞退そのものを「できない」と思い込む必要はまったくないのです。

■「内定辞退=損害賠償請求される」は本当?

インターネット上では、「内定辞退したら損害賠償請求された」「エージェントが怒って紹介を止めた」など、不安になる書き込みを目にすることもあるかもしれません。でも、実際のところはどうなのでしょうか?

結論から言えば、内定辞退を理由に損害賠償を請求されることは、極めて稀です。

企業が損害賠償を請求するためには、「明確な契約違反によって具体的な損害が発生した」と立証する必要があります。たとえば、あなたが入社すると信じていた企業が、他の内定者を断ったために人員不足に陥った…というようなケースが考えられますが、それを裁判で証明するのは非常に難しく、企業側にも大きな負担がかかります。

そのため、多くの企業は内定辞退が発生しても、現実的には「仕方のないこと」として対応しています。

新卒エージェント経由の内定承諾後に辞退することは可能?

「エージェント経由で紹介してもらった企業だから、辞退はもっと難しいんじゃないか…?」

そんなふうに心配している方も多いのではないでしょうか。確かに、新卒エージェントはあなたと企業の間に立ってサポートしてくれる存在。その分、間に入ってくれている手前、辞退することでエージェントさんに迷惑をかけてしまうのではないか…と感じるのも自然なことです。

でも安心してください。
新卒エージェント経由でも、内定承諾後の辞退は可能です。

もちろん「可能」である以上、マナーやタイミングには気を配る必要がありますが、エージェント側も学生の気持ちが変わることは想定しています。それに、あなたの人生にとって本当に納得のいく選択をすることこそが最も大切なのです。

■エージェントは味方?それとも監視役?

まず、誤解されがちなのですが、新卒エージェントは企業の“代理人”ではありません。もちろん、企業から報酬を受け取っているビジネスパートナーではありますが、学生側のキャリア支援を本気で行っているエージェントも数多くいます。

エージェントとしても、「合わない会社に無理に入社してすぐ辞められてしまう」より、「納得した企業に就職して、長く活躍してくれる」ことを望んでいます。つまり、あなたの辞退の決断が誠実なものであるならば、きちんと説明すれば理解してくれるエージェントは多いのです。

■エージェントに辞退を伝えるタイミングは?

辞退の連絡は、なるべく早くが基本です。内定承諾後、気持ちに迷いが生じたら、なるべく早めにエージェントに相談するのがベスト。遅くなればなるほど企業側への影響も大きくなり、エージェントも対応しづらくなってしまいます。

特に以下のような場合は、すぐに相談することをおすすめします:

  • 他に進んでいる選考があり、そちらに気持ちが傾いてきた
  • 実際に承諾した後で、仕事内容や社風に疑問を感じてきた
  • 入社先を家族と相談した結果、別の道を考えたくなった

エージェントは相談のプロ。あなたがひとりで決断に悩むよりも、第三者としてアドバイスをくれる存在です。

■辞退は「自分で言う」の?それともエージェントに任せる?

新卒エージェント経由の内定辞退の場合、多くのケースでは、企業への辞退連絡はエージェントが代行してくれます。ですので、学生はまずエージェントに自分の気持ちを正直に伝えるところから始めましょう。

もちろん、「自分から企業にも一言伝えたい」という気持ちがあれば、それも素晴らしいことです。エージェントと相談しながら、伝え方やタイミングを決めていくのがスムーズです。

大切なのは、「辞退する=悪いこと」と思い込まないこと。
進路に迷うのは、誰にでもあることですし、エージェントもそれを理解したうえでサポートしてくれています。

内定辞退を決めた理由ランキング【体験談あり】

「どうして、みんなは内定を辞退しようと思ったのだろう?」

そんなふうに思ったことはありませんか?
自分が感じているモヤモヤが、実は他の人にも共通しているのかもしれない――そう気づけるだけで、少し気持ちが軽くなることもありますよね。

ここでは、新卒エージェントを利用して内定を承諾したあとに、最終的に辞退を決めた学生たちの声をもとに、よくある辞退理由ランキングをご紹介します。あなたの気持ちと重なる部分があるかもしれません。

■内定辞退理由ランキング(複数回答)

  1. 他により魅力的な企業から内定をもらった
  2. 仕事内容・業界が自分に合わないと感じた
  3. 社風・雰囲気が合わないと感じた
  4. 勤務地や転勤の条件が想定と違った
  5. 親や友人から反対・不安の声があった
  6. エージェントの押しに流されたと感じた
  7. 給与や福利厚生に不安が残った

それでは、それぞれの理由について、実際の声とともに見ていきましょう。

1位:他により魅力的な企業から内定をもらった

「正直、最初に内定をもらった会社は“とりあえず決めたい”という気持ちで承諾したんです。そのあと、自分の第一志望の企業から内定をいただいて、本当に悩みました。でも、納得できるほうを選びたいと思って辞退を決めました」(Mさん/私立大・文系)

これは最も多い理由のひとつです。新卒エージェントでは、選考スピードが早く、企業からの「即決」が求められることもあります。ですが、その後の選考で自分により合った企業に出会うことも充分あり得ます。
最終的に納得できる選択をするために、心が動いた時点での見直しは必要かもしれません。

2位:仕事内容・業界が自分に合わないと感じた

「内定をもらったときは安心感のほうが大きかったんですが、あとから冷静に仕事内容を見返してみたら、『これって本当にやりたい仕事なのかな?』って不安になってしまって…。思いきって辞退しました」(Kさん/国立大・理系)

内定をもらったことで一時的に気持ちが落ち着いたとしても、時間が経つにつれて「本当にやりたい仕事なのか」と疑問が湧くこともあります。その気づきは、むしろ“自分と向き合った証拠”です。

3位:社風・雰囲気が合わないと感じた

「最終面接のときに少し違和感を覚えて…。内定後に企業説明動画を見返しても、『ここで働くイメージがわかない』と思ってしまって。直感的な感覚って、意外と大事なんだなと思いました」(Tさん/私立大・文系)

社風や雰囲気は、仕事内容と同じくらい大切なポイント。人間関係や働く環境に不安があると、内定後でも不安が強まることがあります。辞退という判断は、長い目で見て正解だったというケースも多いのです。

4位以下も、十分に理解できる理由

勤務地が遠方で通勤に不安がある、転勤の条件が曖昧だった、給与や福利厚生の面で納得できない…。こうした具体的な条件面も、就職先を決める上で無視できない要素です。

また、親や周囲から「ちょっとその会社、大丈夫?」と指摘されて気持ちが揺らいだという声も少なくありません。自分の意思だけでは決めきれないことも、就活ではよくあることです。

■「エージェントの提案に流されてしまった」という声も

「エージェントさんがすごく熱心に推してくれて、『内定が出たら即日承諾が理想です』って言われて…。そのときは流されてしまったけど、あとからよく考えたら納得できなくて、やっぱり辞退しました」(Aさん/私立大・文系)

エージェントが勧める企業でも、最終的に決めるのは自分自身。スピード感に流されすぎず、一度立ち止まって考えることも大切です。

■「みんな悩んでいる」ことを忘れないで

辞退に至る理由は人それぞれですが、一つだけ共通しているのは、みんなが真剣に悩んでいるということ。迷いながらも前に進もうとしているのは、立派なことです。

次章では、実際に内定辞退を伝える際の「エージェントへの伝え方」と「メール・電話の例文」を詳しくご紹介します。相手に失礼なく、かつ自分の気持ちをしっかり伝えるためのコツを押さえておきましょう。

エージェントに伝える内定辞退の正しい伝え方と例文集

「内定を辞退したいけど、なんて伝えたらいいか分からない…」
「失礼になったらどうしよう」
「怒られたり、責められたりしないかな…」

辞退を考えたとき、多くの学生が一番悩むのがこの“伝え方”です。特に、新卒エージェントにお世話になっていた場合は、「紹介してもらったのに申し訳ない」という気持ちが強くなりやすいですよね。

でも大丈夫。
誠実な姿勢で、丁寧に理由を伝えれば、きちんと受け止めてもらえることがほとんどです。

この章では、エージェントに内定辞退を伝えるときのポイントと、実際に使える例文をご紹介します。

■伝えるときの基本マナー

① なるべく早く伝える

辞退の意志が固まったら、できるだけ早くエージェントに連絡しましょう。時間が経てば経つほど、企業やエージェントの準備が進んでしまい、調整が難しくなります。

② 連絡手段は「メール+電話」がおすすめ

まずはメールで辞退の意向を伝え、そのあとで必要に応じて電話で詳細を話す、という流れがスマートです。いきなり電話だと焦ってうまく話せないこともあるので、メールで事前に心の準備をしておくと安心です。

③ 辞退の理由は「前向き」に、かつ簡潔に

辞退理由を伝える際には、「気持ちが変わったこと」「他に進みたい道が見えたこと」など、自分の将来に向けての前向きな判断であることを軸にしましょう。ネガティブな批判は避け、簡潔にまとめるのがポイントです。

■メールでの辞退連絡:例文

件名:内定辞退のご連絡(〇〇大学 氏名)

textコピーする編集する〇〇エージェント △△様

いつも大変お世話になっております。〇〇大学の□□です。

このたびご紹介いただき、内定をいただきました〇〇株式会社についてですが、
熟考の末、誠に勝手ながら辞退させていただきたくご連絡いたしました。

就職活動を進める中で、将来的なキャリアや自身の適性について改めて考える時間を持ち、
別の方向性を選択したいという気持ちが強くなりました。

△△様には、これまで多大なご支援とお時間をいただいたにもかかわらず、
このような結果となってしまい大変申し訳ございません。

本件について、改めてご挨拶のお時間を頂戴できればと思っております。
お手数をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

――――――――――――――  
〇〇大学 △△学部 △年 氏名  
メールアドレス:××××××  
電話番号:×××-××××-××××  
――――――――――――――

ポイントは、誠意を持って簡潔に。長々と言い訳をしすぎず、でも感謝の気持ちはしっかりと伝えることが大切です

■電話での伝え方:話し方の流れと例

もし電話で直接話す場合の流れも確認しておきましょう。

① 感謝の気持ちを伝える

② 辞退の意思が固まっていることを明確にする

③ 理由は簡潔に、前向きに

④ 今後のフォローに対するお願いも添える

電話の例(会話調)

「△△さん、こんにちは。〇〇大学の□□です。
お忙しいところすみません。本日は、先日ご紹介いただいた〇〇株式会社の内定について、ご相談させていただきたくご連絡しました。
結論から申し上げますと、誠に恐縮ですが、内定を辞退させていただきたく思っております。
色々とサポートいただいたのに大変申し訳ないのですが、キャリアの方向性について再考し、別の道に進みたいという思いが強くなりました。
改めてお礼を申し上げたく、もしお時間いただけるようでしたら、またご挨拶に伺わせていただきます。」

丁寧な言葉遣いを心がけつつ、落ち着いて自分の意志を伝えることが大切です。もしうまく話せなくても大丈夫。気持ちが伝われば、エージェントも真摯に受け止めてくれるはずです。

■伝えたあと、どんな反応がある?

エージェントによって反応はさまざまですが、ほとんどの場合は**「わかりました、対応しますね」と柔軟に対応してくれます**。もちろん少し残念そうな反応をされることもありますが、学生に怒ったり責めたりするようなことは、まずありません。

あなたが真剣に悩んで決めたことなら、エージェントも理解してくれるはずです。

辞退するなら早めが鉄則!タイミングごとの注意点まとめ

内定を辞退する――そう決めたとしても、「今のタイミングで言っても大丈夫なのか…」と迷ってしまう人も多いですよね。

承諾してすぐ?数週間後?入社直前?
どのタイミングで辞退を伝えるかによって、相手の受け取り方や対応の難しさも少しずつ変わってきます。

この章では、辞退のタイミングごとに「気をつけたいポイント」と「想定される相手の反応」を整理してお伝えします。
どんな時期でも辞退は可能ですが、スムーズに進めるための参考になればうれしいです。

■承諾直後(1週間以内)の場合

●メリット:

  • 比較的スムーズに辞退できる
  • 企業側の準備もまだ進んでいないことが多い
  • エージェントも柔軟に対応しやすい

●気をつけたいこと:

  • 「すぐに気が変わるなんて…」と思われないよう、理由はしっかり伝える
  • なるべく早く連絡を入れる(1日でも早いほど◎)

●一言アドバイス:

迷っている段階なら、「少し時間をください」と保留にする選択肢もあります。焦って承諾してしまったと感じたら、すぐに相談してみましょう。

■承諾から数週間経過後(2~4週間以内)の場合

●メリット:

  • 自分の中で判断が固まっているので、理由も明確に伝えやすい
  • まだ企業側も入社準備の調整が可能な時期

●気をつけたいこと:

  • 「他の企業に気持ちが傾いた」など、前向きな理由を丁寧に伝える
  • 担当者に対して申し訳なさを正直に伝えるのも効果的

●一言アドバイス:

承諾後に出てきた不安や迷いは、自然なことです。中途半端なまま入社するより、今の段階での見直しはむしろ誠実な行動です。

■入社直前(1か月以内)の場合

●メリット:

  • 気持ちにしっかり向き合った結果なので、後悔はしにくい

●注意点:

  • 企業側の準備がかなり進んでいるため、影響が大きくなる
  • エージェントや企業から驚かれたり、残念がられたりすることもある
  • より一層、誠意と丁寧な対応が求められる

●対応のコツ:

  • 電話での連絡+メールでの文書補足をセットに
  • 「自分勝手で申し訳ない」という姿勢と、「後悔したくない」という真剣な気持ちをしっかり伝える

●一言アドバイス:

たとえ直前でも、「どうしても納得できない」という気持ちを大切に。人生の岐路だからこそ、最後の最後まで自分に正直でいてください。

■タイミングよりも「どう伝えるか」が大事

「今さら言いづらい…」と思って伝えないまま入社してしまい、数か月で退職することになると、かえってお互いにとって不幸な結果になってしまいます。

大切なのは、辞退の決断が誠実なものであること、そして伝え方に丁寧さと感謝の気持ちが込められていることです。

辞退すること自体よりも、「その伝え方」が、相手にとって印象を大きく左右します。

■辞退は「逃げ」ではなく「自分の意思」

内定を辞退する決断は、決して逃げではありません。
誰かに流されず、自分の気持ちに向き合い、納得できる道を選ぶことは、とても勇気のある行動です。

早い段階で伝えられれば、お互いにとっても無理のない形で話を進められます。だからこそ、「迷ってるけどまだ言い出せない…」という方は、今が行動するベストタイミングかもしれません。

トラブルを避けるための注意点3つ【NG行動あり】

内定辞退は、どんなに丁寧に対応したとしても、少なからず相手に影響を与えるもの。
だからこそ、伝え方やタイミングには気をつけたいところです。

そして実際に、「うまく伝えられなかった」「気まずくなってしまった」「エージェントとの関係がギクシャクしてしまった」――そんなトラブルも、就活生の中では少なくありません。

この章では、トラブルを避けるための注意点を3つにまとめてご紹介します。
また、やってしまいがちなNG行動についても合わせて見ていきましょう。

① 連絡が遅れる・フェードアウトする

最も多いトラブルの原因が、「無断で音信不通になってしまうこと」。

辞退するのが気まずくて、ついメールや電話の返信を後回しにしたり、そのまま連絡を絶ってしまったり…というケースは実は多くあります。

「連絡を入れなきゃ」と思いながらも、日が経つとどんどん言い出しにくくなってしまう…

そんな気持ちはよくわかります。でも、ここで大事なのは、誠意を持って早めに一言を伝えること

連絡をもらえさえすれば、エージェントも企業も対応ができます。むしろ、何も言わずに音信不通になってしまうことの方が信頼を損なってしまうので、勇気を出して一歩を踏み出しましょう。

② 辞退理由をごまかす or 批判的に伝える

辞退理由を伝えるとき、「本音を話すのは失礼なのでは?」と考える方も多いです。もちろん、ネガティブな内容をストレートに伝える必要はありませんが、だからといって嘘をついたり、曖昧にごまかしたりするのは逆効果になることも。

さらに注意したいのが、企業への批判になってしまうような表現。

「説明と違った」「やりたいこととズレている」「雰囲気が合わなかった」

…こうした気持ちもあるかもしれませんが、言い方には要注意です。感情的に伝えるのではなく、

「自己分析を進めた結果、別の業界・職種により強く惹かれるようになった」
「キャリアビジョンを再考した結果、他の道に進む決断をした」

といった、前向きな伝え方に言い換えるだけで、印象が大きく変わります。

③ 感謝を伝えずに終わる

辞退の連絡をする際に忘れてはいけないのが、「これまでのサポートに対する感謝の言葉」です。

内定を得るまでに、エージェントは企業との調整、書類添削、面接練習…さまざまな支援をしてくれていたはず。辞退の連絡がいくら丁寧でも、「ありがとうございました」の一言がないと、心証が悪くなってしまうこともあります。

逆に、「今回はご迷惑をおかけして申し訳ありません。そして、今まで本当にありがとうございました」ときちんと伝えられた人は、次のチャンスにもつながりやすいです。

まとめ:トラブルを防ぐ3つのコツ

  • できるだけ早く連絡する
  • 理由は前向きに、感情的にならずに伝える
  • 感謝の気持ちは言葉でしっかり伝える

これらを意識すれば、たとえ辞退することになっても、円満な関係を保つことができます。
「辞退=関係の終わり」ではなく、「丁寧に対応することで、次に活かせる信頼関係」へと変えていけるのです。

本当に辞退すべき?迷った時に考えたい3つの視点

辞退するか、しないか――。
その判断は、誰にとっても簡単なことではありません。

「今のまま内定先に進むべきか、それとも気持ちに正直になるべきか」
「エージェントや企業に申し訳ないけど、このままで後悔しないだろうか」

そんなふうに、心の中で何度も揺れ動いているあなたに、
ここでは“後悔のない決断”のための3つの視点をお届けします。

自分にとっての正解を見つけるための、ヒントになれば嬉しいです。

視点①:「5年後、ここで働く自分を想像できるか?」

まず自分に問いかけてみてください。

「5年後、この会社で働いている自分が、なんとなくでも想像できるか?」

はっきりとしたビジョンがなくてもかまいません。
ただ、「なんとなく居心地がよさそう」「成長していそう」と思えるなら、進んでみる価値はあるかもしれません。

逆に、「まったくイメージできない」「ワクワクしない」と感じたら、それは心の奥からのサイン。
“納得感のない入社”は、のちのち「やっぱり辞めたい」に繋がりやすくなります。

視点②:「誰かに言われたから」になっていないか?

  • 「親がこの会社をすすめてきたから」
  • 「エージェントに強く勧められたから」
  • 「内定を断るのが怖かったから」

こうした“他人軸”の理由だけで承諾していないか、振り返ってみましょう。

もちろん、他人の意見を参考にするのは悪いことではありません。でも、最終的に決めるのは、他でもない「自分自身」です。

「本当はどうしたいのか?」
その気持ちに正直になってみることが、後悔しない判断につながっていきます。

視点③:「いま感じている違和感は、時間が経てば解消するか?」

就職活動では、誰でも少なからず不安や迷いを抱えるもの。
「本当にこの会社でいいのかな…?」と悩むのは、あなただけではありません。

ただ、その“違和感”が一時的な緊張や不安によるものなのか、
それとも価値観や相性のズレによるものなのか、冷静に見極めてみることが大切です。

たとえば…

  • 入社前研修や社内説明を受けても、違和感が強まる一方
  • 面接官や社内の雰囲気がどうしても合わないと感じた
  • 入社後の働き方に納得できない点がある

…こうした場合は、時間が経っても違和感が薄れないことが多いです。

逆に、「不安だけど悪い印象はない」「挑戦したい気持ちはある」なら、もう少し考えてみる余地があるかもしれません。

自分の選択に、自信を持っていい

「辞退するのが正解」でも、「入社するのが正解」でもありません。
どちらを選んでも、それが**“自分で考えて出した答え”**であれば、きっと意味のある選択になります。

迷っているということは、それだけ真剣に自分の人生を考えている証拠です。
悩みながらでもいい。立ち止まりながらでもいい。
大切なのは、「自分の納得できる道を選ぶこと」。

もし今、心が揺れているなら、その気持ちにちゃんと向き合ってみてください。
あなたの未来をつくるのは、今ここでの小さな一歩です。

おわりに

就活って、本当に“決断”の連続ですよね。

エントリーする会社を選ぶとき、面接を受けるかどうか悩んだとき、内定をもらったとき、そして――内定を承諾したあとに、「このままで本当にいいのかな」と、また迷いが押し寄せてきたとき。

ここまで読んでくださったあなたは、きっととても誠実で、責任感のある方だと思います。
だからこそ、内定を辞退するかどうかという大きな決断に、じっくり向き合おうとしているのでしょう。

でもどうか、忘れないでください。

自分の将来に向けて、納得のいく選択をすることは、決してワガママではありません。

内定を辞退すること、それは逃げることではなく、あなたの人生を大切にするための「選び直し」です。

もちろん、エージェントや企業への連絡が気まずく感じることもあると思います。でも、それ以上に大切なのは、「納得して働くこと」。入社してから「やっぱり違った」と思うほうが、きっとお互いにとってつらいはずです。

エージェントとの関係も、きちんと感謝を伝えて、誠実に向き合えば大丈夫。丁寧な対応を心がけることで、次のチャンスにもつながっていきます。

あなたには、まだたくさんの可能性があります。
そして、どの道を選んでも、それを「正解」にしていく力がきっとあります。

このコラムが、あなたの心の整理や決断のヒントになれたなら、こんなに嬉しいことはありません。

最後に、そっとエールを贈らせてください。

迷っても、悩んでも、大丈夫。
あなたの選んだ道が、きっとあなたにとっての最良の一歩になりますように。